婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 気持ちを話せば、ちゃんとわかってくれる。
 クロエの意志を優先させてくれる。
 この国で、そんな人と巡り合えるのがどれほど貴重なことか、クロエはもうよく知っている。
「例の貴族からの、養女にしたいという話の返事を聞かせてほしいと言われるかもしれない」
「それはさすがに伝言で断るわけにはいかないから、ちゃんと伝えるわ。体調を崩してしまって魔力が減ってしまった。もう魔石が作れないと言えば、向こうだってもう興味をなくすと思う」
 むしろ、スラムの教会で見かけた貴族の女性の話だと、エーリヒの方が危険な気がする。
 あの女性は、エーリヒが王女のお気に入りの騎士だと知っていた。
 ひとりで行きたいところだが、さすがにそれは許してくれないだろう。
 だから、ふたりでギルドに行くつもりだ
(貴族の令嬢が、冒険者ギルドに来ることはないだろうから、大丈夫だとは思うけど……)
 ゆっくりと夕食をすませ、その日は早めに休んだ。
 翌日になってから、規定の数には少し足りない魔石を持って、エーリヒと一緒に家を出る。
「あ、そうだ。その前に……」