婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 ここは、家に引きこもった方がいい。
「体調を崩して寝込んでいることにすれば、無理に面会をしろとは言われないと思う。それでも言われたら、ギルド脱退しかないわね」
 結婚は遠ざかってしまうが、今はエーリヒの身の安全の方が大切だった。
「……そうだな。クロエの身の安全が第一だ。魔石は明日から、少しずつ納品していく。新規の仕事は断るよ」
「うん、お願いね」
 クロエはしばらく外出もせず、家でおとなしくしていることになる。
 本当はエーリヒにもギルドに行ってほしくないが、さすがにふたりが一緒に休むと不自然だ。
 エーリヒは今まで通りギルドに通い、依頼を受けることになった。
「気を付けてね。もし危ないことがあったら、すぐに戻ってきて」
 この家にさえ戻ってきてくれたら、クロエがエーリヒを守れる。
「ああ、わかった。そうするよ」
 エーリヒがすぐに頷いてくれたことに、深く安堵する。
 約束してくれたように、エーリヒはクロエの心配を軽く考えたりせずに、ちゃんと考えてくれる。
 それがとても嬉しい。


第五章

 翌日から、エーリヒは魔石を小分けにして納品してくれた。