婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 やがてエーリヒが口を開いた。
 そう聞かれて、思案する。
「そうね……」
 今まで、想定外のことばかり起こっている。
 元婚約者や父は、クロエのことなどきっと探そうともしない。そう思って、さっさと王都を脱出するつもりだった。
 けれどクロエが思っていたよりもずっと、王都の人の出入りは厳重に管理されていた。
 何か思惑がありそうだが、父が自分を探していたことにも、驚いた。
 だから別人になろうとして、移民のクロエとして暮らすことにした。
 魔法を実践してみたくて魔法ギルドに登録したのに、変な絡み方をしてくるギルド員のサージュのせいで、ギルドに必要以上に近寄る気になれず、ただ魔石を作って納品しているだけだ。
 魔法の練習は、結局できないまま。
 しかも、今度はその魔石のせいで、貴族の女性に目を付けられてしまった。
「こうして考えてみると、なかなか前途多難だよね」
 エーリヒと一緒だったからあまり悲壮感はなかったが、よくよく考えてみれば順調とは言い難い状況だ。
「これから……。どうしたらいいのかな」
 クロエは考えを巡らせる。