ふと名前を呼ばれて顔を上げると、いつの間か家に着いていた。
「あ……」
「家の中に入ろう」
そう促されて、素直に従う。
馴染んだ家に戻ってくると、ほっとした。
ソファに深く座り込んだクロエの肩を、隣に座ったエーリヒが抱き寄せる。
「あの貴族の女性の話、エーリヒには聞こえた?」
甘えるように身を寄せながら訪ねると、彼は頷いた。
「ああ、少しだけ。クロエを養女として迎えたいと言った貴族と、関わりがあるような口調だった」
「……それだけじゃないわ。彼女は、エーリヒのことを王女のお気に入りと言っていたの」
そこまでは、彼の耳に届いていなかったようだ。
王女の名を聞いた途端、身体を強張らせるエーリヒに、クロエは静かに寄り添った。
クロエも元婚約者を思い出させる若い男性に苦手意識を持っているが、前世の記憶が蘇ってからは、トラウマと呼ぶほどではなくなっている。
けれどエーリヒは、若い女性全般を嫌悪しているし、王女の名前を書くだけで表情を曇らせる。
エーリヒを落ち着かせるように、クロエはしばらく彼の傍に寄り添っていた。
「クロエは、これからどうしたい?」
「あ……」
「家の中に入ろう」
そう促されて、素直に従う。
馴染んだ家に戻ってくると、ほっとした。
ソファに深く座り込んだクロエの肩を、隣に座ったエーリヒが抱き寄せる。
「あの貴族の女性の話、エーリヒには聞こえた?」
甘えるように身を寄せながら訪ねると、彼は頷いた。
「ああ、少しだけ。クロエを養女として迎えたいと言った貴族と、関わりがあるような口調だった」
「……それだけじゃないわ。彼女は、エーリヒのことを王女のお気に入りと言っていたの」
そこまでは、彼の耳に届いていなかったようだ。
王女の名を聞いた途端、身体を強張らせるエーリヒに、クロエは静かに寄り添った。
クロエも元婚約者を思い出させる若い男性に苦手意識を持っているが、前世の記憶が蘇ってからは、トラウマと呼ぶほどではなくなっている。
けれどエーリヒは、若い女性全般を嫌悪しているし、王女の名前を書くだけで表情を曇らせる。
エーリヒを落ち着かせるように、クロエはしばらく彼の傍に寄り添っていた。
「クロエは、これからどうしたい?」


