婚約破棄されたので、好きにすることにした。

「ええ、もちろん。でも全部は無理だから、優先度の高いものをひとつだけお願い」
 本当はいくらでも作れるが、ここはセーブしておかなければ貴族に目を付けられてしまう。
「ああ、わかっているよ。これを頼む」
 それはギルド側もわかっていて、あらかじめ依頼を優先順に選別しておいてくれる。本当に魔石が必要な人ではなく、ギルドにとって有益になる人を優先しているのかもしれないが、その辺は完全に任せていた。
「いつも助かっているよ。それで、実はあんたに話があるんだ」
「話、ですか?」
 国籍の話かもしれないと思いながらも、クロエは首を傾げる。
「ああ。話が来た以上、義務として話さなくてはならないからな」
「え?」
 国籍獲得の話だと思っていたクロエは戸惑って、隣にいるエーリヒを見上げた。
 ロジェは、ふたりがこの国の国籍を取得するために頑張っていたことを知っている。だからそんな言い方をするということは、その話ではないのだろう。
「かなりプライベートな話だ。だから別室で聞いてもらうことになるが、もちろんエーリヒも一緒でいい」
「……わかったわ」
 あまり良い話ではなさそうだ。