婚約破棄されたので、好きにすることにした。

(もう私だけの問題、私だけの人生ではないわ。思いつきで行動せずに、しっかりと考えないと)
 エーリヒの肩に寄りかかり、クロエはそう考えながらゆっくりと目を閉じた。
 不安や戸惑いはあったが、それでも『特別依頼』を果たしたことには変わりはない。
 魔石作りで実績を積んでいたクロエは、いよいよ国籍獲得も間近になってきた。
 このまま頑張れば、移民ではなく、この国の正式な移住者になれるだろう。
 だから今日も、朝から魔石作りに熱中していた。
 数をこなしてきたせいで、最近はちょうど良い感じで魔石が作れるようになっている。
 魔力の質が良く、けれどそれほど強い魔力を込めていないクロエの魔石は、いつしか手頃な値段で高品質の魔石だと評になっていた
 だから、上級冒険者や貴族の護衛などからの依頼がとても多い。
 それでもあまり大量に魔石を流出させると、貴族達から目を付けられるかもしれない。
 エーリヒとも相談して、まだそれほど多くの魔石は作れないということにして、来た依頼をすべて引き受けてはいない。
(それでも、結構忙しいのよね)
 クロエの魔力にしてみたら微々たるものだが、それでも手間は掛かる。