婚約破棄されたので、好きにすることにした。

 ギルト員が言うには、魔石に込められた魔力は低いけれど質が良く、これでもっと魔力が高かったら、貴族からまとまった注文が入ったかもしれないそうだ。
 でもクロエにしてみれば、狙い通りである。
(あまり強い魔石を作ると、貴族に目を付けられるからね。これでいいわ)
 残念そうなギルド員に、あいまいに笑って納品する。
 クロエも、あのサージェ以外のギルド員とは、それなりに上手くやっていた。
 エーリヒもその剣の腕を生かして、地下道の魔物退治や護衛の仕事などで、着実に評価を上げているようだ。
 ただ女性からの護衛の仕事は、どんなに条件が良くても絶対に引き受けない。
 極度の女性嫌いであり、クロエ以外はまったく目もくれず、どれほど美しい女性に言い寄られても、本気で迷惑そうな顔しかしない。
「クロエ以外の女はいらない。俺には、クロエがいてくれたらそれでいい」
 そんなことを平然と口にするエーリヒは、見た目に寄らず堅実な男だと、他の男達からの評価が上がったようだ。
 ギルド員も、今では女性からの指名依頼はあらかじめ断ってくれるほどだ。