「…やだなあ、子供扱いしないでくださいよぉ」
あえて明るい声で返して、手だけはぎゅっとシーツを握りしめる。
心なしか汗ばんでいる手は微かに震えていたけれど、暗がりの中わたし以外にそれを知る者はいない。
東雲さんが出ていった部屋はひどく広く感じられた。
思えば、この部屋で一人きりになるのは久しぶりだったかもしれない。
最初は東雲さんとふたりでいることはどこか息苦しくもあった、けどそれよりも。
向こうはわたしといても気詰まりじゃないかな、とか。
寝てるときにわたしが隣にいても気にならないかな、とか。
今はただ、それだけが心配だった。



