夜になっても雷は止まなかった。


雨風はだいぶましになっていたけど、遠雷というには近すぎる轟きが時折きこえる。


東雲さんは隣のベッドで本か何かを読んでいた。

わたしもシーツにくるまってうとうとしていたとき、明るい部屋からでも外が光ったのがわかった。


窓際に近いベッドだったからさすがに息を呑んだ、次の瞬間。



「ひゃっ……」


ドンッと大きな音がして、部屋の電気が消えた。

咄嗟に東雲さんの方に行こうとして、ぐっと堪える。


それから数秒しても部屋の明かりは戻らなかった。






「じゃあ行ってくるけど。ひとりで待っとける?」


どうやら寮全体のブレーカーが落ちたらしい。

誰も場所がわからないのか数分たっても復旧されなくて、ようやく重い腰を上げた東の統率者。


眩しくないようにスマホの灯りを下に向けながら、東雲さんがこちらを振り返った。


その先には、廊下には闇が広がっている。

わたしには不安を濃縮したようにしか見えないそれは、東雲さんの目にはどう映っているのだろう。