ハイドアンドシーク



遅れて、頬になんか当たったなって指で触れて。

呆然としていると髪をぐしゃぐしゃと混ぜ返される。



「風呂、入ってくれば」

「ぁえ、あ、うん。ごゆっくり」

「それこっちの台詞なんだけど」



ぽかんとしたまま脱衣所に入って、ぼけっとしたまま服を脱ぐ。

冷え性な同居人によって熱めに調節されているシャワーを頭から浴びながら、ようやく。

触れるだけのキスをされたことに気がついた。




「……あっつい、」


思考が追いつくより先に、熱いお湯が容赦なくわたしの顔にも降りそそいで、頬がちりちりと熱を帯びる。

まるで全身の熱をかき集めて、その部分に集中させたみたいに熱い。



これ、わたし、どんな顔して出ればいいの……。