ハイドアンドシーク



「いきますよ」

「ん」


「ほんと、触りますからね」

「いーから早くしろや」

「冷たっ!もたれ掛かってきたこの人!」


ドライヤーのスイッチをオンにして、東雲さんの髪にそっと手を伸ばした。


思っていたよりも柔らかく、さらさらしている。

しかも直毛。

わたしはちょっぴりくせっ毛だから羨ましい。



「わたしもあとでシャワーしてこようかな」


まだ日は落ちてないけど、この天気だ。

今日はどこにも行けないだろう。


いいんじゃねーの、と東雲さんが言った。多分。

いろいろな音に掻き消されて聞き取りづらい。


わたしはドライヤーを弱風に切り替える。



すると何を思ったのか、東雲さんがまたしても後ろに倒れてきた。


一瞬どきりとするけど、きっと深い意味なんてない。



「眠いの?」

「んー……別に」


じゃあもたれ掛かってこないでほしいんだけどな。


さっきから首に東雲さんの髪が触れてくすぐったい。