ハイドアンドシーク




翌日。
待ちに待ったデー…買い出しの日。




「雷だ」


午前から怪しかった雲行きは、午後には雷へと変わっていた。


ゴロゴロと響く重低音の雷鳴。

昨日、お嬢さまたちが言ってたのはこの天気の事だったんだ。


わたしも東雲さんも雨に濡れたくなかったから、お出かけは延期になった。

残念だけど致し方ない。


窓の外を眺めていると、シャワーを浴びていた東雲さんが頭にタオルを被せたまま戻ってきた。



「あーほら、また乾かさないで出てきた」

「最低限は拭いてるから床は濡らさねぇ」

「そうじゃなくて、風邪引くって言ってるんですよ」


東雲さんは基本的に自分のことには無頓着だ。

わたしが同じことをしたら口うるさく言ってくるくせに、どうやら自分はいいらしい。


いつもなら何もしないけど、今日は予定も潰れて暇なのでお世話を焼いてあげることにした。


なんて気の利く幼なじみなんだろう。