ハイドアンドシーク




黄色い悲鳴があがったのは、寮を出て正門に差し掛かった時だった。

最初の頃はいちいちビクッとしていたわたしもようやく慣れ始め、今では堂々と横切れるようになった。



「統理さま、今日も大変麗しいわ……」

「陶器のような肌、通った鼻筋に形のいい薄い唇、そしてあの射抜くような切れ長の目……あぁん、まさに極上の顔立ち。excellent」


ちらりと横目で様子をうかがえば、案の定。

正門のすぐ向こうで、目をハートにした女の子たちがずらりとお行儀よく並んでいた。


ここからそう遠くないところにあるお嬢様学校の子たちだ。

通り道に冥皇があって、毎朝こうしてイケメンを出待ちするのが日課らしい。


寮から校舎に行くには、必ず通らないといけない場所だからやっかいだった。



「キィィッ邪魔よカシマッ!」

「お退きなさいッ写真に入り込んでしまうわッ!」


なんでわたしの名前知ってるのかわからないけど、絶対退いてあげない。

盗撮は犯罪だし、写真を見返すときに東雲さんの周りをチョロチョロしてるわたしに苛つけばいいんだ。