ハイドアンドシーク



「だからって諸々すっ飛ばしてシャツだけになんなよ。カーディガンの一枚くらい持っとけ」

「じゃあ週末……ていうか明日。買いに行くから、東雲さんが見繕ってくださいよ。ついでに普段着も買い足したいし」


東雲さんの好みで選んでよ、って。

半分冗談のつもりだったのに。



「いいけど」


部屋を出ようとしていた東雲さんが一瞬、ちらりとこちらを振り返って。



「お前の男物のセンス、微妙だしな」


それだけ言って、部屋を出ていった。



一緒に学校に行く約束はしてなかったけど、ついて行ってもいいよね?


準備、終わるの待っててくれたんだもん。

……いいよね。



「待ってよ東雲さんっ」


わたしも部屋を飛び出しながら、どこかはやる気持ちを抑えきれないでいた。




──東雲さんとお出かけできるんだ。