「……うん。わかった」


わざわざ釘を刺さずとも、向こうもその気はこれっぽっちもなかったらしい。

それよりも他に気になることがあるようで、心ここに在らずな返事だった。

なんかぽやぽやしてんな。



「鹿嶋、次のヒートいつ?」

「……たぶんもうすぐ…だけど、大丈夫です」

「大丈夫って」

「抑制剤はちゃんと飲みます。迷惑はこれ以上かけませんから。東雲さんの手を煩わせることは、…だからきっ……、」


そこで言葉に詰まったれんは、意図的に止めたのではなく自分でも何を言おうとしたか分からなかったのか。




「……気にしないでください」


困ったように眉を下げ、それから下手くそに笑った。