ハイドアンドシーク





あ、わたしこれ言わなきゃだ、……と。

駆られたのは、その日の深夜1時過ぎ。


めずらしく隣のベッドも埋まっていて。

それでも、向こうもまだ眠っていないことはわかった。


ベッドから上半身を起こしてサイドライトをつけると、東雲さんの右側とわたしの左側がぱっと明るくなる。



「まっ、ぶし……おい急に──」

「大事な話があるんです」


ほとんど寝かかっていたらしく、「なに、明日じゃだめなわけ……」と明かりを遮るように片腕を顔の上にのせた。



「…東雲さん」

「…わーったよ」


わたしの声がよほど深刻にきこえたのか、東雲さんはむくりと起き上がってくれた。


いつもより低く少し掠れた声。

落ち着くはずのその低音に、今はなぜか心臓がバクバクと跳ね始める。