わたしは正座した膝の上で、ぎゅっと左の拳を固くする。
「だからその、…繁殖活動のことしか考えられなくってことはない…と思いたい」
「……思いたい、ねぇ」
「だっ、て不確定要素ばっかりだもん!」
怖いんだって、とつい泣き言を漏らしてしまう。
「そういうことするのも、わたし……はじめてだから」
言ったあとで、これは言わなくてよかったかもと軽く後悔した。
わたしが経験してるかどうかなんてどうでもよかったのに。
東雲さんはそんなことで絶対に引いたりしない。
「あのう、今のは聞かなかったことに……」
だけど相手の反応が気になって、その顔をちらりと見上げれば。
「じゃあヒート来る前に一回やっとくか?」
と、東雲さんはこともなげに言った。



