ハイドアンドシーク



「一つはね。でも、もういっこは東雲さんにと思って……、え、だからわたし、ピアスも片方にしか……ん? 、あ」



そこまで言ったところで。

ようやく、東雲さんの言わんとしていることがわかった。

つまりさっき訊かれたのも、"右耳にした理由"じゃなくて、"片耳にだけした理由"だったわけで。


ははーんなるほど、と納得できたのも一瞬。



そろり、彼を見上げると、
向こうもまた静かにこちらを見下ろしていた。

その目に非難の色がなかったとはいえない。



「この言葉足らず」

「そっ、ぅ……仰るとおりで」


正直、東雲さんにだけは言われたくなかったけども。

今回はわたしに非があるので、反論はせず素直にうなだれた。