「つーか、なんで右」
「みぎ?」
耳、と東雲さんが自分のを指す。
「右だけにしたろ。なんかこだわりでもあんの?」
なんでそんなことを聞くんだろう。
内心首をかしげつつ、言葉を返す。
「別にこだわりってほどのことでもないけど……ほら、東雲さんが左でしょ、なんとなくバランスいいかなーって」
「…こだわりっていうんだろ、それを」
「まあ、そうともいうかもしれませんね」
というわけではい、と。
ベッドサイドに置いていたジュエリーケース。
それを差し出せば、東雲さんはわけがわからないといったように眉をひそめた。
「何これ」
「なにってピアスですけど、東雲さんの」
「いや、これお前のだろ」
今度はわたしが眉をひそめる番だった。
なんだか、さっきから話がかみ合わない。



