「どう?」
「じんじんするけど、平気」
東雲さんが持ってきてくれた保冷剤は前にケーキ屋さんでもらったもので、多少小ぶりではあったけど耳を冷やすには充分だった。
熱を帯びていたそこが急速に冷やされていく感覚が気持ちいい。
「この石、何月のかな」
「さあ。緑だから夏とかじゃね」
「えーそう?そうかなあ」
めずらしい。東雲さんにしては素直な発想だ。
バレないように笑ったつもりなのに、すぐに気づかれてじろりと睨まれてしまう。
そんなわたしの耳に今あるのは、なんの誕生石かもわからないファーストピアスだった。
──まだ外すなよ。
さっそく件のピアスに付け替えようとすれば、安定するまで一ヶ月はそのままにしてろって釘を刺された。
こんなことなら適当に選ぶんじゃなかったな。
どうせなら自分か、東雲さんの誕生石にすればよかった。
って、東雲さんの誕生日知らないけど。
なんとなく冬生まれのイメージだけど、本人は寒がりだからわりと夏生まれだったりするのかもしれない。
なんて、ぼんやり考えていると、



