バコ、と重い音。
東雲さんが渋々といったように開けたケースの中には、赤色に輝くピアスが2つ並んでいた。
「綺麗でしょ」
「…まあ」
東雲さんはそこまで興味を示さなかった。
こんなにも綺麗な赤なのに、まるで、わたしとは違う色が見えているみたいに。
でね、とわたしは身を乗り出す。
「お願いがあるんですけど」
「断る」
「まだなんも言ってない!」
「どうせピアス開けてくれっつーんだろ」
なんでわかったんだろう。
と、それすらも顔に出ていたらしい。
東雲さんは額に手を当て、それから深く息を吐いた。
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