まあ、と東雲さんがつぶやいた。
「俺の色ってのはよくわかんねーけどな」
「東雲さんの色は東雲さんの色ですよ」
「そうですか」
「今、確認してみます?」
「は?」
まさか手元にあるとは思ってなかったんだろう。
ちょっと待っててね、とわたしが持ってきたジュエリーケースを見た途端に東雲さんの表情が変わった。
「はい。開けてみて」
「は、嫌なんだけど」
「なんでですか!」
あ、これたぶん疑われてるな。
先手を打つことにした。
「言っときますけど、盗ってきたんじゃないですからね。ちゃんとわたしが購入したものですから」
「どこの臓器売ったんだよ」
「ちゃんと!クリーンなお金で!買いました!」
そりゃあたしかに、安くはない買い物だったよ。
わたしの持ってきた全財産、1割は確実に削られたと思うし。しばらくは自炊でもやし炒めの生活だ。
それでも後悔はしてなかった。



