ハイドアンドシーク





「アレキサンドライトだろ」

「あ、そうそう、それです」

「なんだよアキレス腱サンドって、こえーな」



その日の夕食後、わたしはコーヒー片手に今日の出来事を話していた。


少し離れた場所に座っている東雲さんもまた、同様ものを飲みながら耳を傾けてくれている。



内緒で街に出ていたこと。いろんなコーヒーを吟味したことや、美味しかったご飯屋さんのこと。


帰りに素敵なアクセサリーショップを見つけたこと。

そして、


そこにあった東雲さん色のピアスのこと。



買ってきたコーヒーは正解だった。

わたしには少し苦いけど、東雲さんの好みにはどんぴしゃりだったらしい。


東雲さんがリラックスしているのがわかって、それだけで、単純なわたしも頬がゆるんでくる。




「いいもん見れてよかったじゃん」

「えへへ、ご清聴ありがとうございました」



わたしの説明は決して上手くない。

論理的に喋れないくせに、言いたい気持ちだけが先走って話があっちこっち飛ぶ。


それでも茶々を入れず最後まで聞いてくれた東雲さんに、はにかみながらお礼を言った。