「えっと、はい、それだけです」 「身軽にも程があるだろ」 「それは、……」 荷造りする時間がほとんどなかったから。 口から出かかった言葉を押し戻す。 そんなわたしに構うことなく段ボールを床から拾い上げた東雲さんと、目が合った。 「つーかお前が持て」 「き、急に渡さないで……って、重!」 一箱に収まるようにぎゅうぎゅうに詰めたからだ。 東雲さんよくこんなの軽々と持ち上げたな。 ……あ、それと、あと。