「素敵な彼氏さんですね」


あれよあれよ。

試着室に押し込まれたわたしは、心なしか頬を染めている店員さんから商品を受け取った。


それは──ショーウィンドウに飾られていたのは、白い半袖のワンピースだった。


たくさんの布地が折り重なっていて、袖とスカートがふんわりと膨らんでいる。

だけど重たくなりすぎないように、肩のところとスカートの裾だけがシフォン素材になっていた。



こんな可愛いの、似合うかなあ。

今さら不安になりながらも服を脱いでいく。



あらためて着てみると、そのワンピースはわたしに別のものを想像させた。



「……ウェディングドレスみたい」


もちろんそれにしては華やかさに欠ける。

似合ってるかどうかすら自分ではわからなかった。


それでも鏡に映ったワンピースに見とれていると。



「おい鹿嶋。もう着たか？」

「えっ、ま、まだ！」

「……なんか嘘くせえな。開けるぞ」



だからなんで嘘だってわかるの！？