なにを言われるのだろうと固くしていた身に降ってきた声は、びっくりするほど優しくて。
その優しさのなかに有無を言わせぬ力を感じ取り、顔をあげる。
「俺は多分、この先重い病気はしない」
「え?」
「喧嘩もしねーから怪我もしない」
「はあ……」
「それなりに鍛えてるし、長く生きる自信もある」
話の先が見えないでいると。
わたしに目線を合わせた東雲さんが、おもむろに自分の前髪を掻きあげた。
眉の少し上、その陶器のような額にはほんの微かな、だけど一生消えることのない傷があった。
「だから、お前はこんなつまんねーもんを、いつまでも気にすんな」



