後ろ手にドアを閉めた彼はなぜか、それ以上こっちには来ようとしない。



「てっきりベッドの上で震えてんのかと思った」

「…なんで」

「だってお前、暗いの苦手だろ」


そんなこと、と咄嗟に返しながら東雲さんがそのことに気づいていたことに内心、動揺しかけた。

やっぱり、隠しきれなかったんだ。


自然と俯いていく視界の端で、東雲さんが真っ直ぐこちらに向かってくるのが見えた。

それは、迷いのない足どりだった。








「恋」