サービス問題を前に珍解答を連発しながら真摯に取り組むも、終盤には眠気も襲ってきて、今度は問題文が二重、三重に見えてくるという苦難に見舞われる。

(眠い……助けて……)

 身悶え、のたうつように時を過ごし、やがて解放の鐘のごとくチャイムが鳴り――。

「終わったぁー!」
 答案用紙を前列の生徒に回し、両腕を上げて伸びをする。

「キミちゃん、どうだった?」
 隣の席の松下くるみが、テストの出来栄えを聞いてきて、公花はニコッと笑顔を見せた。
「まぁまぁかなっ! くるみちゃんは、どう?」
「うん、わりと解けたと思うけど、どうかなぁ~」

 公花は答えがわからなくとも、空欄は作らない主義だ。書くところはすべて埋めるから、なんとなく、よくできた気になってしまう。
 だが、埋めたからといって答えが合っているわけではない。

(だけど皆も、きっと似たようなものだよね~)

 そんな楽観的な予想は、テストの返却が始まるとともに粉々に破壊されたのだった。

       *

 担任の田中から職員室に呼び出された公花は、悲惨な点数のテスト用紙を前に、人生の指導をされていた。

 国数理社、二十点、三十点台のオンパレード……英語にいたっては眠気のピーク時だったこともあり、解答欄までずれていて、点数一桁台の九点だったのである。

 しかも点を稼げた部分は、選択式問題(勘で当たった恐れあり)のみという体たらく。

 田中は、怒りというよりも愕然とした表情で、公花に尋ねた。