「何をしてるの,湊くん」



久遠(くおん) (みなと)

高2の私のひとつ年下。

家がご近所さんな彼は,何かと接点が多い。

けれどそろそろこの距離感で触れてくるのは如何なものかと,湊くんの母親に相談するべきか悩んでいるのがここ最近の私の休日の過ごし方だった。



「ん~? 寂しさを紛らわせてる。同じ1階に先輩の空気感じられないの,流石に無理すぎる」

「どうせまたこうして会うんでしょうが。寝ぼけたこと言わないの~」



女の子にきゃーきゃー言われるイケメンに育ちはしても。

とぼけた性格は相変わらず。



「先輩はまた誰見てたの?」



やけに断定的だ。

けれど隠しているわけでも恥ずかしいわけでもないため,私はあっさりと薄く唇を開いた。



「すき。かもしれないひと」



ピクリと湊くんの指から振動を受ける。