「考え事?」
「ん。どこか分かんない?」
「ううん」
「あのさ」
湊くんの常に片付いた部屋。
私は膝に頬杖をついた体勢から,こてんと右に傾く。
「そらねーちゃんって,言ってみてよ」
湊くんはぷっと吹くようにして,片手で自身を庇うように私を見た。
「な,なんで,また?」
「そらねーちゃん,そらちゃん,調子乗り始めて空音。いつの間にか名前で呼ばれもしない。……おーきくなったね,湊くん」
「そうだよ,大きくなったよ。……空音チャン」
互いに大きくなって,ギリギリに感じる丸机。
ぎっと音を立てて,湊くんは私に近づく。
湊くんの右手が私の頬を掠れて。
「子供扱いしないでよ」
甘く楽しそうな声が響いた。
焦るように固まった私は目も合わせられず,ついた右腕から顔を少し離す。



