うわのそらでも恋がしたい。




「せんぱい……」



ピロンと私のスカートのポッケから音がする。

固まった湊くんを他所に確認すれば,湊ままからで。



「あ,早く帰らなきゃ」

「ちょっ先輩??!」



タルタルチキン!!!!!

私は珍しくも,たっと走り出した。



「お帰りなさ~い!」

「湊まま,ただいま」



ローファーを脱いで,キッチンへ駆ける。

最早第2のまま。

私の両親は,忙しくて夜は絶対に揃わない。

だから,ほぼ毎日ここでお世話になっている。

湊くんの勉強の手伝いをする報酬という,優しい名目のもと。