うわのそらでも恋がしたい。




「やっぱり何も聞かないんだ。先輩のそう言うとこ,すき」

「そうなんだ」



知らなかった。

そういう話,したことない。



「私も。湊くんの素直なとこ好きだよ」



可愛くて,ほんのたまになで回したくなる。

実行,するけど。

わふっとした感触を一瞬に,私はふっと笑った。



「わっ」

「……やっぱ。いくら先輩が格好いいって言っても。部活なんてしてらんないわ。先輩,すき,まじで好き」

「あー,はいはい。湊くん,すきを多用しすぎて,同級生も犬もびっくりしてるよ」



ショルダーバッグの様に引っ付いて,湊くんは顎を柔く私の肩に刺す。

ぽんぽんと腕を叩けば,自分で引っ付いてきたくせに少し顔を赤くした湊くんがいた。