君と夢に跳ぶ恋

「あっ、それ・・・」

「コレねー、見つけた時にすぐおねーさんに渡そうと思ってたんだけど、おねーさんが一人で百面相してるのが面白くてついつい見ちゃってた。」

「あっ、えっと・・・。」

「ほら。」

そう言って私にリップを投げてくる。

なんとかキャッチする。

男の人がヒューッと口笛を吹いた。

「あ、ありがとうございました・・・。で、では・・・。」

そう言ってそそくさと帰ろうとすると。

「ねえ、ちょっとだけお喋りして行かない?」

えっ・・・

まさかこれって・・・

「いや別にカツアゲとかじゃないから。」

じゃあ・・・

「ナンパでもないから。」

「いや・・・。その・・・。」

「10分だけでいいから。ね?」

そう言ってベンチに座ると、空いている隣をポンポンと叩く。

「わ、分かりました。じゃあちょっとだけ。」

恐る恐るベンチに腰掛ける。

「ねえ、もしかして昨日の人じゃない?」

「へっ・・・?」

突然そう言われて思わず間抜けな声が出てしまう。

昨日って・・・?

「ほら、俺逃げててさー。」

ふと昨日の不良達が思い浮かぶ。

「ああ、昨日の。」

あの後大丈夫だったのかな。