君と夢に跳ぶ恋

走って追いかけるけど見つからない。

いつの間にか人気のない道に出ていて。

茂みの中に落ちちゃったのかも。

茂みをくぐると、そこには開けた場所にぽつりと一つだけ置かれているベンチ。

周りを木々で囲まれていて、外からは見えにくい場所。

こんな場所があったなんて・・・。

地面にしゃがみこんで探してみるけどやっぱり見つからない。

もしかして排水溝とかに落ちちゃった?

・・・どうしよう。

再び茂みを抜けようとすると、

「おねーさん、ひょっとしてコレ探してる?」

突然聞こえた声にビクッとする。

周りを見回すと、男の人が木に寄りかかるようにして座っていた。

・・・人がいたなんて気づかなかった。

すごく整った容姿をしている。

センターで分けられたさらさらの金髪に白い肌、切れ長の目。

左耳にはシルバーのピアス。

でも着崩した制服を着ていて、顔に無数の傷が出来ている。

もしかしてヤンキーか何か?

その男の子の左手には、私が探していたリップが握られている。