君と夢に跳ぶ恋

そんなことを考えているうちに、リップはどんどん坂道を転がっていって。

・・・見失いそう。

もう別れちゃったし、失くしてもいいんじゃないかな・・・。

地面にぺたりと座ったままそんなことをぼーっと考える。

そもそも私そんな綺麗な色が似合う自信がなくて、つけるときちょっと気後れしちゃってたし。

きっともうつけることも無いし・・・。

いいかもしれない。このまま、春樹くんの思い出と一緒に、どこかに消えてしまっても。

膝も痛いし。血も出てるし。駅とは逆方向に転がってるし。追いかけるような気分でもないし。

もう、いいかもしれない・・・。

よろよろと立ち上がり、絆創膏を探す。

・・・今日は持ってきてないみたい。

のろのろと駅へ歩き出す。

「・・・。」

立ち止まってくるりと向きを変える。

・・・やっぱりだめだ。

追いかけなきゃ。

別れたからって捨てていい訳がない。

これをつけてるとき、気後れしてたけど幸せでもあった。

誰かが初めて私のことを想って選んでくれたもの。

私がそれをつけると嬉しそうに笑ってくれた顔。

今はもう無くても、忘れていい訳がない。

確かにこれは私にとっての小さな宝物だったから。

「こっちかな・・・?」

・・・失くしたくない。