「ちなみに、わたしはこの前あなたが手紙を送りつけた本人。つまり「離縁する。出て行け」、と宣言した相手よ。わかる?」

 バートは、ここまで言ってもまだボーッとしている。

 彼を見おろしながら、つくづく思った。

 自分が結婚していることを覚えていたのは奇蹟よね、と。

 もっとも、結婚していると思っているのは彼だけなんだけど。