バートは、怒り狂っている。無精髭だった顔は、いまは剃ってツルんとしている。全体的にパッツンぱっつんに張っているその顔は、一度も太陽にあたったことがないに違いない。真っ白である。一瞬、書物に出てくる「白豚王子」様が脳裏に浮かんだ。「白豚王子」様は、ワガママで陰険で傲慢でとおよそいいところがひとつもないような嫌なキャラクターで描かれていることが多い。もちろん、逆にいい人の場合もあるけれど。それはともかく、彼の場合はまさしく嫌なキャラクターそのままである。