「使用人の分際でご主人様の命に従わないというのか? クビだ。さっさと出て行け」

 業を煮やした彼は、顔を上げてわたしを見た。

 ばっちり視線が合った。

「だから田舎者はうんざりなんだ」

 が、彼は反応しなかった。

 どうやら彼は、記憶力も乏しいらしい。

「出て行くのはあなたの方です」

 彼と視線を合わせたまま、にこやかに告げた。

 さあ、これからが本番よ。

 気合いを入れずにはいられない。