クリスに手紙でお願いしたのである。

 わたしが戻るまで、バートの言うことをきくように、と。

 現在のカニンガム公爵家で働いてくれている人たちのほとんどが、亡き義父母がまだ若い時分の頃から働いてくれている。その中には、クリスとユリシーズも含まれる。が、クレアとシンシアといった若い世代は、バートの存在を知るくらいでわたし同様その姿を見たことがない。もっとも、昔からいる人たちでも幼い頃に王都に出て行ったきり一度も戻ってこなかったバートの成長した姿を見たことがないらしいれど。