厨房にはいると、奥のテーブルで食べ物を貪り食べている男女が見えた。

 二人とも、控えめに表現してもボロボロすぎる。

 もとはいい生地で仕立てたオーダーメイドのスーツやドレスを着用していたのでしょう。だけど、いまはそれらも破れたりちぎれていたりしていてオーダーメイドだった面影がない。それをいうなら、それをまとう体もボロボロ状態。

 男性の顔は無精髭に覆われ、王都で流行しているらしい金色の巻き毛は脂や汚れなどでテカテカ光っている。その上、金色が黒ずんで見える。これまで実家の財で飽食と贅を尽くした生活を送っていた為、ムダに太っている。贅肉に覆われたその体が動く度、彼の髭面から「フーフー」と息が漏れているのがきこえる。