「彼? おじ様、いったいだれなのですか?」

 彼がだれなのか、念のため尋ねてみた。

「バートだ。自分では、そう名乗っている。下品なレディを連れ、『おれが領主だ。戻ってきてやったぞ』とわめいて居座っている。どうやら、悪党の馬車を雇ったんだろう。散々連れまわされた挙句、有り金全部巻き上げられたらしい。とりあえず人の目に触れぬようわが家の食堂に閉じ込め、食い物を与えている」
「あぁバート、ですね」

 やはり、彼なのね。