「シンシア。あなた、太ったんじゃない?」
「クレア、あなたこそ。顔が全体的にパッチパチになっているわ」
「嘘よっ! クレア。あなた、目が悪くなったのよ。婚約者に手紙を書きすぎたり彼からの手紙を読みすぎているからよ」
「あっ、嫉妬しているんだ。だから、いわれなき誹謗中傷を叩きつけてくるのね」
「そ、そんなことないわよ。わたしだって、いい人のひとりやふたり、いるはずよ。どこかにね。いまはまだ出会っていないだけ」

 道中、クレアとシンシアはそんなことでしょっちゅうケンカしている。