「……くそっ」
そう言うと柊さんはきびすを返していなくなった。
弘樹先生を睨んで柊さんは帰っていった。
ため息をついて、先生にお礼を言った。
「弘樹先生、ありがとうございました。でもこんな嘘までついて、柊さんのせいで広まったら大変です」
「……別にいいよ。君を助けるためにここへ来たんだから」
助ける為って言った?
「え?先生、今日はこれでお帰りなんですか?」
「ああ、今日は日勤。君の話を親しい警備員に偶然聞いて、今日この時間に帰れるようにシフトを組んだんだ。よかったよ、少し遅れたが助けられて……相手が入院患者の保護者だと警備員も手を出しにくいからな」
そ、そうだったんだ。あ、警備員さんが手を振ってくれてる。先生が手を振り返してる。
私も頭を下げた。



