同じように仰向けになって空を見ていた昴が顔をこちらに向けてきた。


あと数十センチの距離に、ドキドキする胸を抑えながら空を仰ぐ。




「楽しいこの時間が、止まっちゃえばいいのになって思って」




昴と過ごす日々は毎日楽しくて、幸せで、夏休みが終わってほしくないと思った。


また夏休みが終わったら昴とは離れ離れ。もしも、もう一度昴と会えなくなってしまったら、どうしよう。




「もう私、ここに住んじゃいたいな…。そしたら、昴と毎日会えるでしょ?」


「うん、そうだね。…でも、陽葵は東京の方が似合うと思うな」


「え?どうして?」


「陽葵は眩しいから、こんな田舎よりもキラキラした東京の方が、陽葵って感じする」


「あはは、何それ」




都会と田舎。私と昴の心にはそのくらいの距離がある気がした。


毎日会って話しているけど、ちゃんと心から話せていない気がするのはどうしてだろう?



昴に話したいこと、聞きたいことはたくさんあるのに、いつも本当に話したいこととは違う言葉が出てくる。


それに昴は私と再開してからまだ一度も自分の話をしてくれていない。いつも私の話を聞いてくれているだけ。



ずっと会いたかった昴がこんなにも近くにいるのに、どうして前と変わらず遠い場所にいる気がするんだろう…。