数日後の4月28日。

「恵真。お誕生日おめでとう!」

29歳の誕生日を迎えた恵真を、大和はケーキでお祝いする。

「わあ!ありがとうございます」

フルーツがたくさん載せられた生クリームのケーキに『Happy Birthday!EMA』のチョコプレート。

ロウソクを吹き消すと、大和が笑顔で拍手した。

「恵真、29歳は色んな事がある1年になると思う。一緒に幸せになろうな」
「はい」

二人並んでソファでケーキを食べると、大和はラッピングされた小さな箱を差し出した。

「はい。お誕生日プレゼント」
「嬉しい!開けてもいい?」
「もちろん」

ワクワクした様子でリボンを解く恵真を、大和は微笑んで見守る。

「わあ…、なんて素敵なの」

箱を開けた恵真は、感嘆のため息をつく。

天使の羽をモチーフにしたネックレスに、4つの宝石が輝いていた。

「きれい…」

ネックレスを手に取り、恵真はしばしその輝きに見とれる。

「この4つの宝石はね、俺達家族の誕生石なんだ」
「家族の?」
「そう」

大和は一つ一つ説明する。

「このグリーンは俺の誕生石。5月のエメラルド。その下は恵真の誕生石、ダイヤモンド。そしてその下の二つは、11月の誕生石。トパーズとシトリン」
「そうなのね!素敵。トパーズはブルー、シトリンは透き通ったオレンジ色で、どれも凄くきれい。ありがとう!大和さん。私、これをずっとお守りにするね」

大和は頷くと、そっとネックレスを手にして恵真に着ける。

恵真はモチーフの羽を手のひらに載せてもう一度じっくり眺めてから、大和に笑いかけた。

「素敵なプレゼントをありがとう!大和さん」
「どういたしまして。恵真、いつも俺に幸せをくれてありがとう」

二人は微笑んで見つめ合い、どちらからともなく顔を寄せてキスをした。