「翼、舞。お誕生日おめでとう!」

クラッカーを鳴らして、恵真と大和は二人に拍手する。

11月5日、翼と舞は3歳の誕生日を迎えた。

「二人とも、元気に大きくなってくれてありがとう。はい、プレゼント」
「わー、ありがとう!」
「あけてもいい?」
「どうぞ」

二人は目を輝かせてプレゼントを開ける。

中には、飛行機のおもちゃと子ども図鑑。
二人に同じ物を贈ることにした。

「あ、ひこうきだ!」
「ほんとだ!」

二人は早速、ぶーんと飛行機を手で飛ばして遊んでいる。

「ほんもある!」
「ひこうき、たくさんあるね」

図鑑には、可愛いイラストと一緒に色々な種類の飛行機の写真が載っていた。

「おとうさんとおかあさんのひこうき、どれ?」
「これだよ」
「これ?かっこいいね!」
「はは!ありがとう。実は翼と舞に、もう一つプレゼントがあるんだ」

二人は手を止めて、え?と大和を見る。

「はい、これ。飛行機のチケットだよ」
「え?ひこうきにのれるの?」
「そうだよ。お父さんとお母さんが飛ばす飛行機に乗るんだ」
「ほんとだー。おとうさんとおかあさんの、かおがかいてある」
「さくら まいってかいてあるよ」

二人に渡したのは、本物ではなく手書きのチケットだった。

大和と恵真の似顔絵と、飛行機のイラスト、フライトの日付や二人の名前を書いてある。

あの時大和は部長に、フライトデビューのチケットを6枚買いたいと申し出た。

翼、舞、そして両家の両親の分だった。

部長は、もちろんプレゼントすると言ってくれ、両家の両親も大喜びで、必ず乗る!と張り切っていた。

大和と恵真の夢
『いつか双子をキャビンに乗せて一緒に飛ぶ』

そして両家の両親の願い
『恵真と大和が一緒に飛ぶ飛行機に乗りたい』

それが遂に叶うのだ。

恵真も大和も、翼も舞も、両親達も、皆がワクワクとその日を待ちわびていた。