「う、産まれたって、赤ちゃんが…」
「えっ?!彩乃さんと野中さんの赤ちゃん?」

コクコクと恵真は頷き、二人で顔を寄せてメッセージを読む。

『ハッピーハロウィン!恵真さん、いかがお過ごしですか?実は我が家に元気な男の子が誕生しました!今朝陣痛が来て、昼過ぎには産まれるという安産で、母子共に元気です。ハロウィンに産まれてくるなんて…。「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」って言いながら産まれたみたい、と真一さんと大笑い。恵真さんの言うように、間違いなくひょうきん者です』

クスッと、恵真は大和と顔を見合わせて笑う。

『恵真さんも、出産頑張ってね!安産パワー送ります。あ、申し遅れました。息子の名前は、野中 翔一(しょういち)です。どうぞよろしくね!』

そして笑顔で赤ちゃんを抱っこする彩乃と、彩乃の肩を抱き、満面の笑みを浮かべる野中の写真が添付されていた。

「わあ!可愛い。なんて小さいの」
「ほんと。まさに天使だな。翔一くんかあ、野中さんらしい名付けだな」
「そうね、とっても良いお名前」

二人でしばらく写真を見つめる。

ようやく我に返り、恵真は返事を打った。

『彩乃さん、野中さん、おめでとうございます!嬉しいご報告に、私も大和さんもとても幸せな気持ちにさせてもらいました。翔一くん、とっても良いお名前ですね!それに凄く可愛いです。彩乃さんも安産で良かった。ママも赤ちゃんも元気で何よりです。安産パワー、ありがとうございます。私もあとに続けるように頑張ります。彩乃さん、ゆっくり身体を休めてくださいね。可愛い翔一くんに会える日を、楽しみにしています』

送信してから、また写真を見返す。

「5日後には、我が家にもこんなに可愛い赤ちゃんが来てくれるのかしら」
「ああ、そうだな。しかも二人も!」
「ふふ、楽しみですね」

そして、ふと恵真が大和に尋ねた。

「そう言えば大和さん。私達の赤ちゃんの名前、決まりましたか?」

すると大和は、うーん、と眉間にシワを寄せる。

「それがなかなか…。なにせ、どの組み合わせかも分からないだろ?男の子二人なのか女の子二人なのか、はたまた男女なのか」
「そうですね、確かに」
「だから、実際に顔を見てからピンと来る名前にするよ」
「ピンと、来ますかね?」
「うっ、分からん。来ないかな?」
「どうでしょう…?」

だんだん二人は真顔になる。

「とにかく!まずは無事に産まれて欲しい。それが一番だよ」
「そうですね」

二人で恵真のお腹に手を当てて、赤ちゃんに話しかける。

「元気に産まれておいで。パパもママも待ってるよ!」

ポコッと返事をするように動いたお腹に、また二人で微笑み合った。