そんな私の様子を不審に思ったのか、流歌ちゃんは心配そうな顔で私を覗き込んできて。
ハッとして、咄嗟にごまかす。
……顔も分からない人に、なんであんなに惹かれたんだろう。
普段、自分から人に視線を移すことはない。
だからこそ不思議で、そんな疑問が私の中に残った。
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「雪音、職員室行ってから帰るの?」
「うん、呼ばれちゃったから」
「一人にさせるの心配だけど……また明日ね!!」
「流歌ちゃんも気をつけてね!」
その日の放課後。
私は担任の先生に呼ばれていたので、職員室に寄らなければならなかった。
流歌ちゃんは心配そうな顔をしながら手を振って帰って行って。
私もそれに振り返しながら職員室に足を運ぶ。
……荷物は、教室に置いといていいよね。
帰る時に取りにくればいいや、と思いながら歩いて。

