突然、私を見て笑ったかと思うとそんなことを言ってきて。

不意打ちすぎて、一瞬固まってしまう。


「な、な……っ、なに急に……」

「別にそんなに気引き締めなくてもいいのに」

「で、でも……」

「…まあ、雪音のことは俺だけ知ってればいいんだけどね」

「……っ」


ニヤニヤと意地悪そうに言った識くんに、ドキドキが止まらなくて。

この間、識くんに言われた『とことん騙してやりなよ』という言葉が思い出されて少し心が軽くなる。


「……ありがとう、識くん」


少しだけでも勇気をくれた識くんに、ふっと微笑んだ。



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「雪音〜お昼食べよ〜!」

「うん……!」


お昼休みになり、流歌ちゃんから声がかかる。

お弁当を持って、いつも流歌ちゃんと食べる裏庭に行く。