「一緒に行こ」
そう言って笑った識くんに、こくんと頷く。
断る理由もないし……。
識くんは自分の下駄箱で靴を履き替えて、私のところに来ると歩き出した。
「今日一緒に帰れる?」
「え?うん、大丈夫だけど……」
「じゃあ帰ろ」
突然のお誘いに驚きながらも返事をすると流れ的に一緒に帰ることになって。
別に識くんと毎日一緒に帰っているわけではない。なんなら久しぶりだ。
……識くんも、予定たくさんあるからね。
「花染さんと識くんだ……っ!」
「朝から眩しすぎじゃない……?」
ふと周りから聞こえた声にハッとする。
そ、そうだ……人目があったんだ……っ!!
いつの間にか緩んでいた気を引き締める。
識くんといるとなぜか気が緩んでしまうから。
本当の私のことを知っている人だからかな……。
「…っふ」
「……?」
「雪音ってわかりやすくて可愛い」
「……っ?!」